中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン

人材難は中小企業の大きな問題

3年にわたり続いたコロナ禍を、表面的には脱したように見えます。観光業や飲食業を中心に活況を取り戻しつつあるのは大変喜ばしいことですが、一方で人材不足が深刻さを増しているようです。やむなく人員を絞らざるを得なかった業界はさることながら、もともと人材難が叫ばれていた中小企業では更に人材不足が顕在化しているようです。私がお会いする何人かの経営者からも、課題としてまずいちばんに挙げられるのが人材です。

一言で人材と言っても、会社の中核を担うような人材が必要なのか、取り敢えず目の前の仕事をこなすための人材が必要なのか、新卒なのか途中入社なのか、等によってその対応策が異なります。そんな「もやもや」のポイントを整理したレポート「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」が発表されたので紹介します。

「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」の内容

6月22日に中小企業庁より「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」が公表されました。

  • 概要

中小企業を巡る環境がめまぐるしく変化する中で、売上拡大や資金繰り等の日々の経営課題の背景に、人手不足や人材育成など人材が大きな経営課題になっている可能性が少なくありません。経営者が人材に係る課題に正面から向き合い、貴重な人材を活かせる仕事はどのようなものか考え、行動を起こすことが重要です。
経営者に日々の経営課題の背景に、中核人材の採用、中核人材の育成、業務人材の採用・育成の3つの人材課題(3つの窓)が潜んでいないか確認してもらい、それに対する具体的な対応策や支援策を紹介する「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」を取りまとめました。

また、経営課題に基づき、計画的に数年後を見据えた人材の採用・育成・活用に取り組み、一定の成果を上げた事例を事例集として取りまとめました。

レポートではガイドラインに加え、「中小企業・小規模事業者の人材活用事例集」も紹介されています。

このガイドラインは、簡単に言うと、「人手が足りない」と言っていても始まらないので、経営方針に立ち戻って企業の「ミッション・ビジョン・バリュー」を見つめたうえで、「どんな人材が必要なのか」「それは会社の中核を担う人材なのか、業務を行う人材なのか」「社内の人材を育成することで対応出来ないのか」「DX化により業務の効率化を図ることで対応出来ないのか」などを整理して考えましょう、ということです。人材戦略は経営戦略と極めて密接に関連しているので、その場対応ではなくしっかり目的と計画を立てて対応しましょう、ということです。

とは言っても、人がいないのは事実なので、こんなきれいごとを言っても・・。目の前の、疲弊している現場をどうするのよ、という声も聞こえて来そうです。私も、そう思わないでもありません。わかっちゃいるけど、というやつですね。

ただ、このレポートで「活躍を求める人材に対する仕事を用意するのは経営者の役目」という言葉があり、これはその通りだな、と思います。それが新卒であろうと中途採用であろうと、正社員であろうとパート社員であろうと、会社に何かの魅力がないと、人は集まりません。そしてその魅力を考えるのは経営者の役割です。

人材について考えるということは、自社の経営戦略を考えるということです。このレポートを参考にしながら、立ち止まって自社についてじっくり考えることはきっと有益なプロセスになると思います。

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